家庭の財政学

コストの低いFX(外国為替証拠金取引)

外貨建てで有利に運用するには

最近、FX(外国為替証拠金取引)が注目されています。かつてFXは金融法制の対象外であったことから、一部の取扱業者による悪質な行為が問題になりましたが、2005年7月より金融先物取引法の対象商品となり、さらに公設取引市場である東京金融先物取引所による「くりっく365」が誕生するなど、取引の公平性、透明性が確保されるようになりました。FXは、専門業者のほか一部の証券会社や商品先物取引業者などで取引できますが、取引所取引の「くりっく365」と非取引所取引の相対取引(店頭取引)とでは、取引に関する条件が異なります。また、同じ外貨取引とはいえ、外貨預金や外貨建てMMFとはその仕組みが大きく異なります。主なポイントを以下に挙げました。

1. 元手より大きな資金取引を行うことができる

FXは取引業者に証拠金を差し入れることにより、元手より大きな資金取引を行うことができます。これはレバレッジといわれ、最大25倍までの設定が可能です。たとえば、1米ドル100円の場合、レバレッジを10倍にすれば、10万円の証拠金を元手に1万ドル(100万円)の取引ができるので、為替変動による利益も損失も外貨預金に預けた場合の10倍にまでふくらむ可能性があります。一方、レバレッジ1倍で設定した場合は証拠金と同額なので、外貨預金と同程度のリスクになります。
このように、FXはリスクコントロールの手段が整備されており、デイトレードや短期売買だけでなく、取引の仕方によっては長期投資のニーズに応えることもできるのはメリットですが、調子に乗って身の丈以上にレバレッジを高くしないように注意が必要です。なお、最低証拠金(為替証拠金基準額)は業者や為替相場等により異なりますが、一般的に10万円以下で可能です。「くりっく365」でレバレッジを25倍に設定した場合は通貨ペアの4%程度、たとえば米ドル/円の通貨ペアで証拠金基準額の計算対象期間の為替レートが1米ドル100円の場合は、100円×1万米ドル(最低取引単位)×4%=4万円となります。

2. 円高でも利益を得る取引方法がある

外貨預金や外貨建てMMFは、外貨を買う取引から始めるので購入時よりも円高になると為替差損が発生します。一方、FXは外貨を売る取引から始めることも可能なので、この場合は円高になればなるほど為替差益が生じます。

3. コストが割安

FXにかかるコストとして主に手数料と取引コストがあげられます。手数料は、業者によって異なりますが、店頭取引では無料のところが多く、「くりっく365」では1枚(1取引単位)100〜150円程度のところが多くなっています。スプレッドとは売値と買値との差で、店頭取引では業者によって異なりますが、米ドル/円で1銭以下のところもあります。「くりっく365」では通貨ペアごとにどの業者も同じですが常に変動しています。

4. スワップポイントも収益に

FXでは購入した外貨に利息はつきませんが、「スワップポイント」があります。これは、通貨間の金利差を調整するもので毎日受払いが行われます。
たとえば、米ドル金利が円金利より高いときに、米ドルの買いから入ると日米の金利差に相当するスワップポイントを受け取れます。逆に米ドルの売りから入ると支払いが生じることになります。通貨間の金利差が大きいほどスワップポイントが大きくなります。

【取引例:1】円売り米ドル買いの場合
円に対して1米ドル98.00円で10万米ドル買い、1単位(1万米ドル)につき1日平均150円のスワップポイントを得ると仮定します。10日後に1米ドル100.00円になり、10万米ドルを売って決済しました。


※損益(手数料等を除く)
売買損益=(100.00円−98.00円)×10万ドル=20万円
スワップポイント損益=150円×10単位×10日=1万5千円
取引損益=20万円+1万5千円=+21万5千円

【取引例:2】ユーロ売り円買いの場合
円に対して1ユーロ130.00円で10万ユーロ売り、1単位(1万ユーロ)につき1日平均120円のスワップポイントを支払うと仮定します。10日後に1ユーロ127.00円になり、10万ユーロを買って決済しました。


※損益(手数料等を除く)
売買損益=(130.00円−127.00円)×10万ユーロ=30万円
スワップポイント損益=120円×10単位×10日=1万2千円
取引損益=30万円−1万2千円=+28万8千円

なお、「くりっく365」の場合は同一通貨については受取り・支払いとも同じスワップポイントですが、非取引所取引では受取りは少なくて支払いは多くなる業者もあります。また、実際のスワップポイントは変動しますので、金利の変動次第では受取りから支払いに変わる可能性もあることには注意が必要です。。

5. 取引時間が長い

「くりっく365」の場合は、原則として、土・日・元日を除く毎日、早朝の一定時間を除いて終日取引を行うことが可能です。非取引所取引の場合、業者によって取引を行えない日、時間帯が異なります。いずれも、注文は多くの業者でメンテナンス時を除いて24時間365日受付しています。

6. 税金の取扱い

FXによる利益は、個人の場合、雑所得になりますが、一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の申告分離課税が適用され、原則として確定申告が必要です。取引所に上場している株価指数先物取引・商品先物取引等および店頭デリバティブ取引等との損益通算ができ、損失の翌年以降3年間にわたって繰越しを行うこともできます。

なお、FXの店頭取引の場合、かつては総合課税が適用され、「くりっく365」とは別に所得の計算を行っていましたが、2012年1月から一本化され、FXによる利益はすべて申告分離課税になっています。

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